第19章 世界を傾ける力

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   一カ所に戻り集まった光は一瞬で全てが散った。  この目で確かに見た輝きは、ただの幻かと思うほどに潔く。  薄暗さを取り戻していく室内の情景。  消え去った光の世界――その後にいたのは、カフカ。  銀色の髪を眩く輝かせて。  強く前方を睨んだ蒼い瞳には溢れる程に膂力がたぎり、白い肌は本当に透けてしまいそうだ。  先ほど失った腕や、全身に付けられた傷はヒトカケラも存在していない。  すべての負は消えてなくなりその身体にはオーラが漲っている。  何よりも――その背中に。  美しく白い翼が颯爽と現れていた。
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