第19章 世界を傾ける力

33/35
前へ
/975ページ
次へ
   突然、  何かに気が付いたレイチェルが悲鳴にも似た叫び声をあげる。 「これは、空間操作か!」  空間……操作……?  敵へとしがみついたカフカ。空間操作……その行動と言葉から連想するものは、嫌な予感のみ。  まさか……。  朧気なイメージを決定的なものに変えたレイチェルの悲痛な言葉が更に続く。 「――まさか、アナタは! ワタシを道連れにして次元の狭間へと消え去るつもりなのか……! 意識があるうちに。世界の災厄を防ぐ為に!」  肌で感じた。  世界が鳴動して震撼し続ける現実を前にその言葉は紛う事なき真実だと。  今までも、言い表せぬ恐怖と混乱。そして激しい焦りみたいなものはあった。  全身を蝕む外傷は気が狂いそうに痛いし、止まない頭痛は常にハンマーで叩かれているみたいだ。  だけどそれら全てが霞む程に。  突きつけられた現実は容赦なく残酷。異常な精神状態に拍車がかかっていく。  消え去る? カフカが?  それはきっと、本当に……。
/975ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13854人が本棚に入れています
本棚に追加