第19章 世界を傾ける力

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   収縮と拡張を何度も高速で繰り返し、黒い稲妻が辺り構わず空間を蹂躙している。  激しく蠢く歪みが至る所へと生み出されていく。  転がった俺は抗う術もなく各所に湧いた歪みへと引き寄せられ翻弄される。  なんで? なんで? なんで?  なんで、が頭の中を何千回も何万回も駆け巡る。脳内を占めていくのはただひたすらの疑問符。  なんで、カフカなんだ!  無力感と不甲斐なさでやり切れず握りしめた両手は血行を失い、噛んだ唇から血が滲む。  なんで……。  なんで、これがカフカの決断なんだ!  どうして彼女ばかり……。  カフカが消える……本当に消えてしまう……。  やがて、想いと憤りが臨界点を超えた。  ――――俺は、世界なんてどうだっていい!  そう。  どうなったっていいんだ!  込み上げる衝動に任せて噴火するように。 「カフカぁぁァァーっッッ! やめろおぉォーーっッッツ!」  ありったけの声で、叫んだ。
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