最終章 そして未来へ

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   1  目を覚ますと見知った天井が俺をギラリと見下ろしていた。 「……――響也、くん?」 「……あ、あぁ……」 「気が付いたのかい?」  この声はマスター。  この天井も四季の一室だ……。 「……マスター? ……俺は?」  漠然とした質問をしてしまう。 「ふん、神藤。お前はどうしてそうなんだ。一人で都市へ突入するなど勝手にも程がある。だいたいな――」  この、トゲのある説教爺みたいなセリフは……和輝か。 「和輝君、ちょっと待ちなさい」 「――いいえ、待ちません。この男には一度きっちり言い聞かせないと駄目なんです」 「でも、まだ起き抜けだからね。後でたっぷりと――」 「いや、後で後でと神藤の得意技です……逃げられない今の機会がちょうどいい」 「そこを――」  コントのような二人のやり取りを見て俄かに現実感が沸いた。
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