最終章 そして未来へ

5/21
前へ
/975ページ
次へ
  「ところが申請した入都市許可が下りない。月代さんは都市に確かにいる筈なのに連絡が取れないというんだ。次席も同様のようで、誰に連絡を取るべきかかなり焦っていたようだった」  ちょうど、月代の研究室にいる時かもしれない。 「なるほど……」 「そこで一度拒まれたんだが第3都市は今独立真っ最中だろう?」  そういえばそんな話だったな。 「ああ……」 「そこで私は月代さんに直接頼まれている相談役という事にして、やっと漕ぎ着けた交渉相手をスケジュールを押して今晩連れて来た事にしたんだ。拒めば国際問題になると入り口の兵隊を脅かした」 「……そうか」 「まぁ、外国との交渉はいろんな国と行っていたみたいだし、それほど不自然じゃなく。所詮一般警備の人間。問題になっても困ると思ったのか、責任はこちらで取るという条件ですぐ都市に入る許可が降りた」  大胆な手を使うな、このじいさん……。  そう思う俺の目を見つめながらマスターの言葉は更に続く。 「後は、よく知った都市内。真っ直ぐに管制塔に向かって月代さんのいる最上階に。だけど、その場所に彼はいなかった。私はピンときたよ。彼がいるのはクローン研究の為、何度も入ったラボに違いないと……」
/975ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13854人が本棚に入れています
本棚に追加