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あれから一週間。
心はともかく身体はまだ傷だらけながら体調はすこぶる良い。学校へもちゃんと通い出した。
相も変わらず校内ではだらけているのだが。
和輝の父。
高坂博士の事は一度和輝に聞こうと思ったが、やめた。
事の経緯を考えるに、和輝自体が方舟とやらに関わっている可能性も否めない。だが、それでもアイツは俺の親友。
それでいい。その時が来て必要があればアイツから話をしてくれるだろう……。
そんな事を考えながら放課後を告げる鐘を聞いてサッサと鞄を手に立ち上がる。
帰ろうと廊下へ出た途端、後ろから肩を叩かれた。
ん? なんだ?
首を回して振り向く。
そこには、薄い紫色の瞳で下から俺を覗き込むようにした一人の少女がいた。
「……なんだ、琴音かよ」
「なんだとはご挨拶ね」
「はは、わりぃわりぃ」
「まぁ、いいわ。……あんた最近元気ないんじゃない? なんとなくだけど?」
女の勘てヤツか?
ここは無難に答えておこう。
「おお、そんな事はねぇよ」
「……ならいいんだけど。厄介ごとは片付いたの?」
「なんとかな。心配かけて悪かった」
俺の言葉に考えるよう顎の下に手を添えて琴音が言った。
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