《序章》総ての始まり

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魔法世界の中でも古くから存在する大国、アルシェイラ王国。 その首都に本部を置く、中央軍、組織犯罪者対策部隊第一班隊員用職務室。 片倉恭介はとある組織関連の未解決事件の捜査資料を鬼の形相で先程まで凝視していたが、今は十年前に起こった世間では『ノーザンド家の惨劇』として浸透している事件の捜査資料を読んでいる。 片倉がまだ学生だった時の事件である。 そして、彼が軍への入隊を志すきっかけとなった事件でもあった。 捜査資料**頁 死亡者……***名 生存者……1名(ハヤテ・ノーザンド) ・ ・ ・ ・ 次ページにはハヤテ・ノーザンドの経歴などが書かれていたが、恭介はそのままいくつかページを飛ばしていく。欲しいのはハヤテの情報ではなく、死亡したと確認されているイブキ・ノーザンドの情報だった。 資料によると、イブキ・ノーザンドは左腕の部位以外発見されていない。腕が発見された部屋には魔法による攻撃跡が多数残されており、魔法攻撃によって他の部位は消失したと思われる。 他の使用人達も同様に遺体の一部や大半の消失が確認された為、死亡したと断定。 「やはりか・・・」 何度もイブキ・ノーザンドに関するページを睨み付ける様に読み返して恭介は何かを確信したように低い声でぽつりと呟いた。 「やはり、おまえは生きているのか・・・・・・・・・?」 呟いた言葉は早朝の誰もいない職務室に静かに消えていった。
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