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それから恭介は自身の負った傷の治療を終わらせると報告書の提出や諸々の雑用を総て片付け、事件のファイルが保管されてある資料室から関係資料を持ち出すと、上司からの休暇命令を完全に無視して勝手に職務室で缶詰になっていたのである。
当の恭介はというと、自身の中にあった疑問が解決した為に、清々しい朝日を浴びながら達成感に溢れた笑みを浮かべている。
「ふぅ……、片付けたら帰るか」
長時間同じ体勢だったせいで凝り固まってしまった肩を解し、ぐっと体を伸ばす。
「おいこら、休暇中の筈のおまえが何故〈ナニユエ〉こんな場所に居やがる!!」
ぐぃーーっと体を伸ばしているといつの間にやら背後に来ていた恭介の隊の隊長であるカリアン・アルフレートがこめかみに青筋を立てながら凄んで来た。
「それはですね」
「そ・れ・は?」
「んなもんシカトしたからに決まってるじゃないですか」
憤慨するカリアン隊長に対して恭介は満面の笑みで問題発言である。
「何、さも当然の事の様に命令違反してるんだ!恭介!!」
「良いじゃないですか。仕事熱心な部下に恵まれて」
「良くねぇよ!!しかもこの資料、全部持ち出し禁止だぞ!?」
「あぁ、そう言えばそうでした。まあ、そう怒らずに」
「怒るわっ!!」
恭介はカリアンの声を耳に入れながら事件の捜査資料――――持ち出し厳禁の機密書類――――を抱えて立ち上がる。
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