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「まあ、よろし――」 「しかしお前中々良い身体してんなー」 「なっ!ちょっ!触るな!!」 男のごつごつした手がべたべた触ってくる。 あぁ!気持ち悪い! 寒気がするわ! すると、 「ちょっとそこの二人!そういうのは止めなさい!」 と叱責するかのような口調の声が聞こえた。 声の方向に目を向けると、そこには二人の女子がいた。 一人は黒髪ロングのストレートヘア。 きりっとした吊り目でなぜか顔を赤く表情している。 さっきの北条先生とやらとかぶってしまいトラウマが蘇りそうだ。 もう一人は正反対のショートカット。 ボーイッシュな感じがしており、笑みを浮かべている。 「えー、あたしはもうちょっと見ていたいんだけどな」 「麗奈!余計なこと言わないでちょうだい!」 「はーい」 麗奈と呼ばれた少女はそうから返事をする。 ――ってか男子二人でじゃれ合うのはダメなのか? と思いながらふと辺りを見渡すと何故か何人かの視線がこちらに集まっている(主に女子)。 そいつらの顔は火照っており、何か見てはいけないものを見た感じだ。 ……状況を整理しよう。 俺~上半身裸 大井~俺の体を触っている 一部の女子~ガン見してなんか嬉しそう 結論、この状況は俗にいう―― 「っておわぁ!離れやがれお前!」 俺は大井をかなりの力で押しのける。 危ない、こんどはそっちの気があるのかと勘違いされるところだった。 「っててててて……、お前何すんだよ~」 「大井、周りを見ろ」 「周り?一体何が――」 「……気づいたか?」 「俺たちは今、道を踏み外そうになっていたんだな……」 まったくもってその通りだ。
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