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「勝手にお前らの将来決めるようなことして申し訳ないがな。だが、戦闘魔法は使い手が適切じゃなけりゃ使っちゃダメだ。あんな事件をもう二度と起こさないためにもな」
最後のセリフだけ、妙に重く聞こえた。
だがしかし、そのセリフだけで十分に意味は分かった。
確かにあの事件はもう二度と起こしてはならないものだろう。
こちらの世界でようやく浸透しつつある魔法という技術に亀裂を与えることになるだろうからだ。
他の皆もちゃんと受け止めたようだ。
しかし、何人か暗い顔だ。
特に女子の方に多く見える。
「それでお前らはAだから戦闘重視になるわけだが、まあ安心しろ。戦闘重視っていっても回復とかも含まれるしな。もっと上の学年に行けば細かく分かれるしな」
それを聞いて多少安心したのか少し明るい表情になる。
一応教師だもんな。
ちょっとした変化に気付くとは。
「さらに言っとくと俺が戦闘技術授業の担当だからな。悩んでることがあったら何でも相談しろよ」
「「「「はぁ……」」」」
「おい、なんだその『たよりねぇ……』みたいなため息は」
だって……ねぇ?
「あーあ、もう俺やる気なくしちゃったわ。あとのプリントは勝手に読んでくれや。んじゃ、かいさーん」
そう言って渡辺さんは教室から出て行ってしまった。
給料泥棒とか思われたくないとか言ってた割には普通にでてったな……。
一度皆目を合わせるが、すぐに対応する。
席を立ち思い思いの場所へと向かう。
さて、俺はどーするかな……。
「柊!一緒に寮に行こうぜー!」
と大井がよってきた。
何か喧しいのが来たな……。
確かにこの学校は全寮制だけど。
「何でお前なんかと一緒に――」
「そうだ!北条達もいっしょにどうよ?」
「いいよー♪」
「ちょっ……麗菜!?」
「いーじゃん、いーじゃん。何か楽しそうだしさ♪」
水島、お前は大井と同じか。
北条もなんかまんざらじゃあなさそうだし。
ってかそんなことより――
「ちょっと待てよ。勝手に話を進めんな」
「何だよ柊?なんか予定でもあるのか?」
「まあ――つーか何で呼び捨てだ」
「へ?だって友達じゃん、俺ら」
お前の友達基準は会った瞬間友達なのか。
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