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 その巨大な体躯に月明かりが遮られ、私の周辺にどす黒い影を落とす頃、禍々しい闇のイメージが恐怖で私を支配し、奈落の底に突き落とそうとしていた。  そして戦慄する私の大きく張り詰めた下腹部に狙いを定めると、鈍色の爪を振り下ろした。  鉤裂きに切り裂かれた血色のビロードの皮膚の間から、飛び散る脂肪と流れ出せない血液がそこに大きく溜っていった。  獣はまるで歌でも歌うような軽やかな手つきでその裂け目に両手を差し込むと、内臓を破壊しながら奥深くへとねじ込んでゆく。  あちこちが破け、消化物にまみれた小腸がずるずると引きずり出され、同時に一抱えほどある肉塊も中から転げ落ちた。  それは私がこの世で一番大切にしている、安らかな顔をした胎児の姿だった。  ――コイツヲ、コロセ  強烈な思念と共に、大きな牙が胎児に襲い掛かった。
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