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 もしかしたら私を連れ戻しに来てくれるかもしれない。お前の気持ちを考えなくて悪かったと頭を下げてくれるなら、二度と私は彼の本意に抗うまいと心に誓おう。  近くの多国籍バーで一人、正体なく朝まで飲み明かした。イルミネーションの渦、様々な言語が飛び交う中、私はひたすら彼を持ち続けたのに。  気が付いた時には太陽は空高く昇っており、ぽっかりと欠落した記憶を持て余したまま、私は道端に転がっていた。  なんて屈辱的な姿。しかし彼のいない人生など考えられなかった。  私にとって彼は尊敬の対象であり、男社会に生きる私の夢であり、愛しい存在であり、深く知り合えた、かけがえのないソウルメイトであったから。
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