いち

2/12
883人が本棚に入れています
本棚に追加
/525ページ
妖怪達が集まるあやかし学園。 今日は、入学式だ。 教室には様々な妖怪が集まり、厳粛な雰囲気の中、学園長の大善寺が熱弁をふるっていた。 「今日から、皆さんはこのあやかし学園の生徒である。…妖怪の存在が危ぶまれる昨今。皆、努力して再び妖怪の名を轟かせて頂きたい。」 大善寺は、自分の言葉にうんうんと頷きながら話していると、ガラッと教室の扉が開き銀髪の少女が現れた。 「ほわっ!大善寺のおじじ様!遅れてすまんのじゃ。」 何食わぬ顔で空いている席に着く少女に、大善寺はゴチンと拳骨を食らわせ 「吟子!お前という奴は…。」 と、顔を真っ赤にしてワナワナ震えた。 「っうぅ~!!痛いのじゃ!!おじじのバカチン!父上に言い付けるのじゃ!」 吟子と呼ばれた少女は大善寺を指差し、ぎゃんぎゃんと騒ぎ立てた。 「ぬぅう…吟子!お前は散々しごいてやる!以上、生徒諸君!こいつのようにならないように!!」 そう言うと、大善寺は吟子の頭をぐりぐりと撫でて、教室を後にした。 「うるさいのじゃ!」 去りゆく大善寺の背中に叫んだ吟子は、はっとしてクラスを見渡した。 背後できょとんとしている皆を見て、あぁ~やってしまった…と、吟子は頭を抱えた。
/525ページ

最初のコメントを投稿しよう!