いち

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ヒソヒソと皆が話す中、居心地悪そうに席に着いた吟子は、不意に肩を叩かれ振り返った。 「あの…君、大善寺学園長と知り合いなの…?」 右隣に座っていた、黒髪で大柄の男の子が声をかけて来たのだ。 びっくりして固まる吟子に、男の子はおどおどと言葉を続けた。 「あ、急にごめんね…。僕はキム・ウォン。いや…妖怪界のトップにいる大善寺学園長相手に、タメ口なんてすごい子だなぁって思って…。」 そう一気に言うと、ウォンはふーっと息をつき 「いきなり、ごめん。」 と、肩をすぼめた。 大柄なのに肩をすぼめた姿がおかしくて、吟子は笑いながら答えた。 「大善寺のおじじは、父上のお友達なのじゃ!あたしは、怒られるからおじじは嫌いじゃが…。まぁ一応すごい奴だと、尊敬はしとるのじゃがの!」 吟子は口を尖らせて喋った後、にかっと笑った。 くるくると表情を変える吟子につられて、ウォンもクスクスと笑った。 「あ、自己紹介が遅れてすまんのじゃ。あたしは、綾戸吟子。よろしくなのじゃ!」 そう言うと吟子は手を伸ばし、ウォンに握手を求めた。 「こちらこそ、よろしくね。」 にっこりと笑い、ウォンは吟子と固い握手を交わした。
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