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だだっ広い校庭に出ると、お立ち台の様な所にクシャナ先生が立っていた。
「今から自己紹介を兼ねて皆さんの妖魔と、妖力を披露してもらいます。まずお手本に私から。」
そういうとクシャナ先生の頭がみるみる蛇に変わり、空を見上げた。
かわいそうに空を飛んでいた鳥が、ポトリと石化して落ちてきたのだった。
サッとサングラスをかけて、クシャナ先生は笑った。
「お分りのとおり、私はメデューサです。妖力は石化。皆さん!ちゃんと授業を聞かないと、石にしちゃいますからね。」
ペロリと舌を出して、笑う先生につられて皆も笑った。
「では、出席番号1番の生徒からやりましょうか。綾戸吟子さん。」
そういわれて、吟子はお立ち台に立った。
さぁっと風が吹き、吟子の頭に獣耳と九本の尾が現れた。
「九尾で銀狐の綾戸吟子じゃ。ただ…問題があっての…。あたし実は半妖なのじゃ。なので、まだ妖力はないのじゃ!以上!」
さっとお立ち台をおりた吟子に、先生はストップをかけた。
「待って。あなた、半妖なの?あの、綾戸家お生まれなのに?」
信じられないと言ったように、クシャナ先生は目を丸くした。
「そうじゃ?まぁ、先生!次の子の自己紹介がみたいのじゃ。」
吟子はそう言うと次の子にバトンタッチして、さっと座ってしまった。
ざわざわとした空気のなか、順番に自己紹介は続いていき、ウォンの順番になった。
おどおどとお立ち台に上がるウォンに向かい
「ウォン!あたしの分も、頑張るのじゃ!」
と、吟子に声をかけられ、ますますおどおどしながら、ウォンは口を開いた。
「あの…えっと。じゃあ、変化します。」
そう言うとウォオーンと叫び声をあげ、ウォンは狼男になった。
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