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「…仲良しごっことは、いい身分あるな。ウォン。」
突然話し掛けられ振り向くと、キョンシーの男の子が立っていた。
「…レイ。」
呟くように彼の名前を言い、ウォンは肩をすぼめた。
「お前という奴は…、ヤオ家の恥だという事を忘れたあるか?」
冷たい眼差しのレイに、吟子は食って掛かった。
「貴様何者じゃ。ウォンを侮辱するな!」
「これはこれは。野孤の吟子嬢あるね?妖怪総大将の娘も、半妖とは大したことないあるね…。」
そこまでレイが言い掛けた時、急に空気が変わった。
「レイ、今すぐ吟子に謝れ。失礼だ。」
殺気を放つウォンに舌打ちをして、レイはその場を離れた。
「吟子?…ごめんね?」
はっと気付くと、いつものおどおどとしたウォンに戻っていた。
「平気じゃ!気にするでない!」
ニコッと吟子は笑ってみせた。
「…あの、今の人は?」
ちかりが、恐る恐るウォンに尋ねる。
「異母兄弟のヤオ・レイ。中国妖怪の長の息子だよ。レイは僕の事嫌いなんだ。僕も苦手だけど…。」
少し困った顔をしながら話した後、あははとウォンは笑った。
「そっか…。ウォン、あんまり気にしないでね!」
ちかりがグッとガッツポーズをすると、
「そうなのじゃ!あんな奴、気にしないのじゃ!」
と、吟子もガッツポーズをした。
「二人とも、ありがとう。」
気を使われた事に気づき、ウォンは照れ臭そうに頭をかいた。
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