死亡動機

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その法案が論議された頃は大変な批判があったという。人権団体等は、その法律の危険性を訴えるデモを各地で起こした。 守るならともかく、自殺を助長するとは何事だ。 こんな声があがったという。私からすれば、何が問題なのか到底理解できない。死にたい人間を楽に死なせてやるのだ。無理矢理生きさせるよりもよっぽど優しいではないか。 生きろ生きろと言うだけで何もしないのと、死にたいというから死なせてやること、どちらが本当の想いやりかは明白である。 しかしまあ、当時の人間からすれば恐ろしい法律に見えたのだろう。産まれた時からあれば、至極当然で普通に思える。そういうものなのだろう。 異論が唱えられたが、結果は、現在見てわかるように可決された。 省も設立された。そこの役人は給料が良いので、必然的に競争率は高い。法律ができたばかりの頃は、汚わしい仕事だと蔑視されることもあったらしいが、今では子供のなりたい職業ベスト5に入っている。 自殺支援法で重要な点を簡単にまとめてみる。 一つ、本気で無い者が来た場合には、罰金もしくは禁固に処される。 一つ、生命保険が適用されない。 一つ、無料である。 一つ、十八歳以下は不可能とする。 一つ、審査を通らなくてはならないこと。 一つ、審査を通れば後戻りはできない。 審査はまず書類選考。数多くの質問をこなし、次に進めると見なされれば次の審査へ。見なされなければカウンセリングを受けて帰宅となる。 次に面接。面接官からの質問に答え、適当であると見なされ、最終審査を受ければ晴れて死ぬことができる。
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