4人が本棚に入れています
本棚に追加
晴れた空には、薄く雲がかかっている。秋の終わり頃の寒気をおびた空気の中、ふらふら歩く女子高生が一人。
「やっちゃったぁー…」
彼女の手には、白い紙が一枚。
「遂に取っちゃったよ~、28点。赤点初めてだよぉ…」
彼女の高校では、30点以下が赤点とされており、中間・期末と連続して30点を下回ると追試。合格しなければ留年となる。
「期末で頑張りゃ何とかなるかな?」
銀杏の並木道を歩きながら、手早くテスト用紙を畳みカバンにしまい込む。
―もし、生まれ変われるなら英語圏に生まれたいなぁ…―
英語のテストをたたみながら、そんな事を考えていた。
―どうせ生まれ変わるなら、フランスとかイタリアとかがいいかも。―
などと少ない知識の中で何となくオシャレそうな国を挙げていく。
「うわぁ…もうすぐ家だよ~。嫌だなぁ…。」
後2つ角をまがり、1つ横断歩道を渡ると家に着く。
最初のコメントを投稿しよう!