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「倒れていたんです。路の真ん中に」
「倒れていたって…俺がですか?」
昌浩の言葉に驚いたようすの青年、草木桜満。
「あの声のせいか?それしか思いつかないんだが…いや、でも」
「声!?声を聞いたんですか!?」
声を聞いた。
それはもしかして俺たちが探している窮奇かもしれない。
「たしか…『今すぐ我の元へ』とかいう言葉が直接頭に流れこんできて…。
不思議に思った瞬間、突然白い光に包まれて、気がつけばここに」
白い光が彼をここに呼び寄せたとしたのなら、何を求めている?
残念だが探していた窮奇では無い事は確かだ。
窮奇なら、手下を使うはずだ。
自分から呼び寄せることはしない。
それに、あいつが纏っているのは黒い気だ。
「そのような事がおありでしたか」
「「!!?」」
ガラリと開いた襖に驚いて振り返ると、そこには年配の男性が立っていた。
その横には、いかにも不機嫌ですと言いたげな青年?の姿。
「じい様!!」
「じい様…?」
ということは、この子のお祖父様なのか。
「私は安倍晴明といいます」
「草木桜満です。倒れていたという私を保護してくださり、有難うございます」
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