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「えーと…信じられないんですけど、俺は平安のこの時代に時空間移動…つまり、トリップしたということですか?」
老人、基い安倍晴明の話を聞きながら俺は『妹の夢を俺が叶えてしまった』と冷静に、(あぁ冷静だとも)思っていた。
「長年、それはもう人よりちと長く生きてきましたが、このような不思議な事は一度も起こった事はありません…。
だが、ここで出会ったのも何かの縁。
帰り方が見つかるまで此処にいるといい」
晴明さんの優しい言葉に涙腺が弱くなりそうだった。
凄く嬉しい…嬉しいんだけれども!!
「あの、後ろの人が凄く不機嫌そうな表情で睨んでくるのですが」
睨みだけで、人一人殺せそうな気がします。
これが本当の『殺気』というやつか。
…俺、何かしましたか?
「「「!!!」」」
どこぞの馬の骨とも分からぬ奴などと一緒に暮らせるか!と言う事なんだろうか。
だが、ここで救いの手を放したら、俺は『平安』の時代で生きていく術を知らない…。
「草木殿、彼が視えるのですか?」
「え?」
『視える』?
そういえば、【安倍晴明は式神を使い、…】とか良くwikiに書いてあったな。
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