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昌浩が物忌みのために部屋に篭ってしまい、俺は手持ち無沙汰に池が見える縁側で暇を潰していた。
何かを手伝おうとしても露木さんには断わられてしまう。
ここで俺は何もせずに、のんびりとしていていいものなのか?嫌、いいはずがない。
今まで何かしらの手伝いを家でやってきた俺には、何もしないというのは時間を大いに無駄にしてしまう。
どうすればいいか考えていたところに、清明さんがやってきた。後ろには見たこともない1人の青年(少年?)を連れていた。
「おぉ、こちらの服も似合っていますな」
「ありがとうございます」
先ほど露木さんに渡されたこの時代の服。
狩衣というとても動きやすい服を貸していただいた。
どうやら昌浩の兄のお古のようだ。
「して、何をお考えで?」
「いえ、その…。
俺はここに何をしにきたのかと考えていて。
誰が何のために俺をここに飛ばしたのか分かりませんが、何かのためにここに来たのは分かるんです」
「ふむ、何のために…。
それはこの安倍晴明にも分からんのじゃよ。
だが、そう深く考えんでも良いだろうて」
ほっほっと軽やかに笑う晴明さんに苦笑が漏れた。
難しく考えるなって事か。
それとも他に違う意味があるのか。
それは分からないが、俺はここで出来る限りのことを頑張ろうと思った。
それから俺がいた時代の日本についての話などをしていたが、晴明さんも仕事(出仕?)のようで家を出て行ったしまった。
現在残っているのは露木さんと昌浩、白兎、そして先ほどの少年は玄武という神将の3人+1匹だ。
ん?玄武は人ではないよな。
まぁ、そんなこんなで現在暇なわけだ。
「鍛錬するにもな…」
竹刀があればそれなりに出来るんだが。
今度晴明さんに竹刀がないか聞いてみるか。
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