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* * * ‐ヒュッ、 弓を射る音が空気を裂く。 的に吸い込まれるように円の中心に刺さった矢に、意識的に止めていた息を吐き出した。 物忌み二日目、俺は晴明さんに何か体を動かせるようなものは無いかと尋ねると、弓矢を差出してくれた。 高校では、たしなむ程度だが射っていたので有り難く貸してもらったのだった。 ぱちぱちっ 「凄い!!桜満は弓術が得意なんだねっ」 「昌浩」 いつから見ていたのか。 二足歩行する兎の白兎と一緒になって、縁側に座る昌浩は楽しそうに手を叩きながら笑っていた。 「おれには、武術の才がないから桜満が少し羨ましいよ」 「武術の才は無くても、昌浩には晴明さん譲りの霊力があるんだろう? それだけでも充分じゃないか」 「…そのせいで、いつまでも晴明の孫扱いだけどね」 ぶすぅと唇を尖らせてそっぽを向く昌浩に子供だなぁと苦笑する反面、まだ子供で良かったと安心する俺がいた。 というか、拗ねた態度が妹そっくりだなぁ…。 「でも、偉大なる晴明の孫だって認めてるんだよ。 な、白兎?」 「どーだかなぁ?」 長い耳をその前足?で掻きながらシレッと言い流す白兎に苦笑して、的に集中するために姿勢を正した。 的に集中して、弦を引くときに頭を真っ白にすることでモヤモヤとした悩みは消えていく。 ‐バシッ また一本、弓が刺さった。俺の悩みが解決することは無いけれど…。
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