one

3/4
前へ
/19ページ
次へ
藤田守。 彼女は幼稚園時代からの幼馴染というやつで、俺の親友でもある。 異性が親友だなんて変だと思うかもしれないが、実際そうなのだから仕方がない。 彼女は昔から頭が良かった。 中学、高校と順位表のてっぺんに彼女の名前を見なかった日はなかった。 ちなみに彼女もこの大学に通っている。なんでも、憧れていた教授がいるらしく、どんなに上の大学を勧められても彼女は首を縦に振らなかったそうだ。 そして当然かどうかはわからないが、特待生としてこの大学に迎えられ、専用の研究室まで借りている。 しかし入学してからというもの、どういう訳かまったくと言っていいほど研究室から出てこない。さすがに心配になった俺は一ヶ月前様子を見に研究室を訪れた。 そして案の定といったところか……部屋の中央でそりゃまぁ見事なほどに倒れていて、「どうした?」と抱き起こしてやりながら尋ねて、返ってきた第一声が 「……腹…減った…。」 ……ということで俺は生存確認も兼ねて一週間に一度、弁当を届けてやっているのである。 .
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加