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守は俺のことを「カケ」と呼ぶ。
なんでも俺の「翔」という字が「かける」と読むからだそうだ。
「うーん…。」
「………?」
「……あ。」
相変わらず首をかしげているロボットをじっと見つめて考えると、ロボットの肩に何か書かれていることに気づいた。
「これ何?」
「え?あぁ、型番みたいなものかな。Mは『守』のMで107はこの子が私が造ったなかで107番目の子ってこと。」
「ようするに106回失敗したわけね。」
「うっさい。」
ふーん、と今度は型番のほうに注目してみると一つ思い浮かんだ。
「107……十、七…とお、ワ。」
「何?」
「……トワ、ってどうだと思う?」
「理由は?」
「10で『ト』7は見方を変えたら『ワ』に見えなくもないだろ?それにロボットは死ぬことはないし『永遠』って意味もある。」
「………。」
「……守?」
途端話さなくなった守を不思議に思って視線を彼女に変えてみると、頬杖をついたままじっとロボットを見つめていた。
「…いいんじゃない?」
「いいんだ?」
「じゃあM107。お前は今から『トワ』だよ。いい?」
「……?トワ…?」
始めはやはり首をかしげていたものの理解をするとにっこりと嬉しそうに笑った。
(ロボットも笑えるんだ…。)
ロボットの…トワの笑顔はとても温かいものだった。
本当にこの子は人間じゃないのだろうかと疑ってしまいそうになるほどに。
そして、頭を撫でながら大切そうに優しく微笑む守を俺は初めて見たと思う。
(あぁ、トワは……守にとってとても大切なものなんだ…。)
そんなことを思っているとチクンと小さくどこかが痛んだような気がした。
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