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とある年末の日曜日。
一人の少女が運命の出会いをする…
彼女の名前は桐野舞蘭(きりの まいら)。
公立の中学校に通う2年生。
舞蘭は自分の部屋の大掃除を終え、リビングでおやつを食べながらテレビを見ていた。
そこへ、先ほどまで庭で洗車をしていた父の守が洗車を終えてやって来た。
「ちょっと競馬見るからな」
舞蘭は何となく見てた番組がつまらなかったのか「別に良いけど」と素直にリモコンを差し出す。
父「悪いな。父さん今日は馬券買ってるんだ。」
「へぇ~じゃあ当たったら夜は焼肉ね!」
この日は年末恒例の有馬記念。
父の守は普段は競馬をやらないが、年に2回ダービーと有馬記念は馬券を買っているのだ。
しばらくしてファンファーレが鳴り響く。
何となく見ていた舞蘭は『圧倒的な一番人気は2番の馬』というのは理解できた。
守もこの馬から流して買っているようだ。
いざゲートが開いてスタート!
舞蘭も2番の馬を目で追う。
「あれれ?一番後ろに居ない?大丈夫なの?」
舞蘭が言うと父も不安そうにしている。
しかし、そんな心配をよそに最後方から全馬を差しきって1着でゴール!
横で父が「勝った馬から買ってるのに…2着の馬は持ってないなぁ…」とがっかりした様子でつぶやく。
そんな父の事など、もはや気にも留めない。
舞蘭の中ではそれ以上の衝撃が走ったからだ。
馬の強さにも驚いたが、舞蘭にはジョッキーが馬を信じて乗ってる姿のほうが感動的で心に残った。
ゴールした瞬間のガッツポーズ…
ウイニングラン…
勝利ジョッキーインタビュー…
すべてがキラキラして見えた。
この時、舞蘭の心の中に『ジョッキーになりたい!』という想いが確実に芽生えたのであった。
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