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入り口付近とはうってかわって、体術試験のルートから試験会場までは、すいていた。それでも5、60人は居るのだが。
先に進むと、すでに列が出来ていた。やはり入り口より余裕があって、二人ずつ並んでいく。
周りの並んだやつを見渡すと、またもやレドの言うところの『ちんぴら』っぽかった。
縁でもあるのだろうか。
余談だが、レドが後でそれをシャンクに問うて「それ、俺も含めただろ!?」と怒られることになる。
唐突にできた友人と、これまた唐突に別れた反動か、気の無いことが頭を廻る。
幸いか、それが長続きすることは無かった。
「これより試験を始める!!」
野太い声が響いた。入り口の拡声器からの声とも張り合う声量に、試験生も振動を感じる。
発生源、会場の中心部に視線が集められる。
初老の、しかしその印象を疑わせるような筋肉をした男が仁王立ちしていた。
スキンヘッドが更に威圧感を振り撒いている。
「ワシは試験官のガンダ・リゴだ!当然だが、この学校の教師をやっている!宜しく頼む!!
……まあ」
意味ありげな視線で試験生を見回し、ニヤリと笑う。
「合格できればの話だが」
このセリフの反応は二種類あった。
一つは、これがお飾りの試験じゃないことに不安がる者。
もう一つは、あからさまな挑発に血気はやる者。
だが、そんな空気を感じながらも、違うことを考えているやつが一人。
(おお、あのおっさん。俺が会った人で一番大きいぞ。シャンクよりデカイな)
そんなレドのズレまくった心情を他所に、口上は進んでいく。
「試験内容を発表する!今回の試験は簡単な話だ」
簡単。
試験官の笑みを見て、それで安心できる者がどれだけ要るだろうか。
「俺と試合い、3分以内に一撃入れろ!!!
……それで合格だ」
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