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小屋の中は静かで誰の影も見つからなかった。
狩りにでも出たか。
いつもなら壁に立て掛けられている祖父愛用の武器が姿を消している。
束ねた魚は手早く捌いた。魚は新鮮な方が旨い。丁度、そろそろ昼時だ。
だが魚だけと言うわけにもいかない。野草でも採ってくるか。いや祖父が何を狩ってくるかにもよる。
そんなことを考えながら、首を巡らすと、あることに気が付いた。
祖父の外行き用、というか旅用の一張羅である外套が消えていた。
そして、代わりにと言わんばかりにわ置いてある、紙と封筒。
まず紙に手を取った。
『レドへ。
しばらく家を空ける。
いつ帰れるか分からんから、お前を預けることにした。
行き先は封筒を見ろ。
祖父より』
祖父よ……
自分で祖父と書くのはどうだろう。
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