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三人組が抵抗しながら……もとい抵抗しようとして担がれていくのを見送る。
正直、目の前の展開に付いていけなかった。
………祖父よ。都会は危険が一杯だ。
「危なかったな。あんた」
先程聞いたような声に振り向く。
「着いて早々、災難だ」
金色で逆立った髪をした人間が立っていた。
耳から細い鎖がぶら下がり、先に小さな十字架が揺れている。
あの赤いやつらを呼んだのは、こいつらしい。
鎖がジャラジャラと鳴る…………………………うむ。
「ちんぴらか?」
「んな!?」
完全に予想外な反応だったらしく、目を剥いた。
「違うのか?」
「違ぇよ!ちんぴらって言うのは、あー、ええと………さっきの奴等みたいなのだ」
さっきのやつらがちんぴらで、こいつはちんぴらじゃない。
……。
もう一度、彼を見る。
「でもジャラジャラしてるぞ?」
「いやジャラジャラは関係ねぇよ」
目の前の空間に裏手でツッコんだ。
祖父よ…。ジャラジャラしていても、『ちんぴら』という種族とは限らないらしいぞ。気を付けろ。
「…………災難だったな。来た早々であんなのに絡まれて」
唐突に話し始めた。今一連の会話をリセットしたいらしい。
ちんぴら三人組の事を思い出す。
「あれは絡まれていたのか?」
「え、いや………違うのか?」
心なしか、金髪が汗を流し始めた気がするが。
「いろいろ質問されていただけだが」
「……ちなみにどんな?」
「俺が田舎者かとか、家名はなんだかとか、『名無し』は帰れとかだな」
「立派に絡まれてんじゃねーか!しかも最後のは質問じゃなくて暴言だ!
あーよかった!無罪のやつ捕まえさしたかと、マジで焦ったわ!本当に良かったっての!」
さっきより大降りに裏手でツッコんだ。
よっぽど力を込めたのか、荒い息を吐いている。
「ふむ。何だか分からないが、おめでとう」
「………アリガトー」
彼は脱力しきっていた。
そんな中、
「試験開始まで時間がありません!未試験者は早急に並んでください!」
なんて声が響いた。
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