隙間

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それ以降、その女性は現れなかった。 もちろん、おかしな現象なども起こらなかった。 僕はあの女性を知らない。 しかし、僕があの女性の待っていた人に似ていたのかも知れない。 あの女性に何か悲劇があったのは間違い無い。 しかもこの部屋で… 渦巻いていた怨念や悲しみを少しでも和らげる事が僕には出来たのか… あの女性の笑顔… 僕は信じたい。 しばらくして、引っ越す事になり部屋の整理をしていた。 襖の上の屋根裏に小さなアルバムが埃まみれで見つかった。 その数枚の写真に男性に腕組みをする、あの女性の素敵な笑顔が写っていた。
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