幻想殺し

1/7
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/20ページ

幻想殺し

京は今人生の岐路に立っていた。 京の約10メートル先で漫画のような出来事が起きていた。 「漢(おとこ)、東 京ここで動かずいつ動くんだ?」 京は自問自答し、颯爽と走り出した。 「おい。そこの暴漢!そのこから手を離せっ!」 「んだとっ!?あん?テメェ誰だよ?」 さてさて京が今何をしているのか、もうお分かりだろう。 え、分からない? 仕方無い。察しの悪いあなたに状況を説明しよう。 京は茹だるような暑さの中、徒歩で町中へと出掛けていた。 本来なら雲の後ろに座る予定だったのだが、京が起きた頃には『葉ちゃん家に出かけるね』と置き手紙だけが机上にあった。 京は一人リビングで「絶望したっ!」と叫ぶ。 本日は『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』のBlu-ray発売日。 京はしぶしぶと重たい足取りで炎天下の中、アニメイトまで赴いた。 その帰り道、京は出会ってしまったのだ。 漫画やドラマでしかお目にかかることはないと思っていたシチュエーション。 いたいけな少女の腕を掴んでいる見るからにヤンキーな男。 そして冒頭へと戻るのだ。 京は主人公を目指す者として立ち止まるわけにはいかなかった。 立って歩け 前へ進め お前には立派な足があるじゃないか! そうだ京!駆け抜けるんだ! というわけで、京は少女を助けるべく暴漢に立ち向かったわけなんだ。 状況理解できたかね?  
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!