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「はっははは。これでテメェは丸腰だな」
もはや京は主人公ではなく三下の悪党だった。
「くっ」
スタンガンは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる。
「ひゃっはっは!おいおいさっきまでの威勢はどうした?ああん?」
今の東 京にかつて東 京の面影はない。
「う、うるさいっ! かかってきなさいよ! この腐れアニメオタク! 犯罪者予備軍がっ!!!」
「いいぜっお前のそのぶざけた幻想ぶち壊してやるよっ!!!」
京は相手が少女であるにも関わらず、奪い取ったスタンガンを片手に襲い掛かる。
スタンガンは怯えて目をつぶると、手を顔の前でクロスさせる。
精一杯の自己防衛。
「喰らええぇぇぇ!!」
「うっ」
京の声に更に怯えるスタンガン。
「―――――あ~らよっと♪」
京の右手から幻想殺しが放たれることはなかった。
その代わり、京の右手はスタンガンそのものを放っていた。
車行き交う道路目掛けて。
スタンガンは状況が理解できず、びくつきながら目を開けた。
少女の目に映ったのは、悪魔のような笑みで道路を眺めている京の姿だった。
少女は京の視線の先を追った。
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