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「だとしたら何だね?」
「許さねー。俺を馬鹿にするのは笑って見過ごそう。でもな秋田を馬鹿にする奴は許さねーぞっ!!」
「いっやいやいやいや! 私が馬鹿にしたのは君だよ君!」
「許さねー!歯を食いしばれ!」
京は左手を振り上げる。
「まさか君 私に手をあげるきか!?」
「黙れー――――っ!」
振り下ろされた京の左手は監督の右頬を優しく包み込むように触れていた。
「な…んだねコレは? 気色悪い真似はよしてくれないか?」
京は清々しい顔で監督に囁いた。
「左手は添えるだけ」
そして振り返り、コートから出て体育館からも姿を消した。
「監督大丈夫っすか? 何だったんすかねあの変なの…」
「彼は…彼は…逸材かもしれん」
「やっべ…この部終わったわ」
上級生は小さくそう呟いた。
高校の駐輪場でアイスを食べていた雲と合流し、京は当然のように荷台に座ると帰宅した。
その夜、京のケータイは秋田からのお怒りメールと電話で鳴り止まなかったとか。
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