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ポッポッ、ポッポッ…
雨が硝子に当たって不規則な音を立てる。
ーーこの雨は、やむのだろうかーー
ふと、思った。
硝子に頬を寄せる。無機質な冷たさが頬に拡がった。まるで、自分の心のようだ。触れれば冷たく、温もることはない。
そっと、硝子に触れてみた。硝子は静かに指の熱を奪う。指先はあっという間に冷たくなった。
ーーなにもかも冷えきって、何も、感じなくなればいいのにーー
ポッポッ、ポッポッ…
さぁーーーー…
頬を指を、静かに冷たく広がりぬくもりを奪う。
雨も、哀しみも止まない。
ザァーーーー……
窓の外はよく見えなかった。
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