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「しかしロシア支局も忙しいとはいえ、迎えも寄越さないとはな」
「まぁしゃーないやろ。
御始祖様がお通りになったときに支局本部も結構な数ヤられたって話やんけ」
そんな会話を交えながらも空港のロビーを出た二人の目に写るのは、どんよりと雲が覆い被さった空に、深々と降り積もる白雪。
「嫌な雲やな」
「─────────」
そして黒い車をバックに、何か二人へと言葉を発している金髪の少女。
「あー……っとロシア語か。
ロシア語なんか話すの久しぶりやわ、ごめんもっかい言ってくれる?」
「初めまして神堂大尉殿、朝比奈中尉殿。
私はロシア支局モスクワ本部配属のアナスタシア・クラスノフ准尉であります」
そう述べたは少女は、ゴシックに改造した、ヘルシングのエンブレムの入った制服に、腰まである絹糸の様に細い金の髪を左右で結った所謂、ツインテール。そして忘れては為らないのがその華奢な体の背後、白銀の世界に一際目立つ黒塗りの『如何にも』なセダンの高級車。
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