厄災の小箱

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鬼助の部屋と同じく、白を基調とした近未来的な造りの局内の廊下の突き当たり、異質な黒い木造の重苦しい扉。 その前に鬼助は居た。 「玄蔵さん、入るで?」 黒の扉を開いた先には、扉と同じく黒を基調とした局長室。 鬼助はその先にあるデスクの革張りの椅子に座る男──藤崎 玄蔵へと声を掛ける。 「何の用でっか?支局長さん」 「来たか……鬼助。 まぁこっちへ来い」 局長室には暖炉があり、時折薪が弾ける音がしているなか、デスクへと足を進める鬼助の、その表情はいつに無く真剣。 「神堂 鬼助中尉。 今回の功績を賞して大尉へと昇格、そして急だが次の任務はロシアへと飛んでもらう」 「ロシア……?何でまたそないなとこに」 「ロシア支局から要請があってな。 恐らく、今回の標的(ターゲット)の所為じゃろう」 また室内に薪が弾ける音が響いた後、鬼助が眉間に皺を寄せる。 「また五始祖かいな……? 次は腕一本だけで済むかわからんで」 「恐らく、な。 だから今回は輝壱を連れていけ」 ふざけた様に左腕を掲げてそう言った鬼助は、玄蔵の言葉に更に眉をひそめる。
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