厄災の小箱

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「全く、お前らはこの日本支局でも折り紙付の吸血鬼殺し(ヴァンパイアハンター)なんだからの。 いつまでも餓鬼みたいにギャーギャー騒がんでくれ」 「貴様が喚くからだ、鬼助」 玄蔵がデスクに戻りながら溢した言葉に、輝壱が中指で押し上げたメガネから覗く切れ長の目で鬼助を睨む。 「はいはい、かんにんかんにん」 「はぁ……今回の標的(ターゲット)についてじゃが、先のドラキュラと同じく五始祖のエルジェーベトが目撃がされておる。 何体かの吸血鬼を率いてヨーロッパからロシアに入り、西へ来て今はモンゴルとの国境辺りじゃ。 まぁ、エルジェーベトのついでにそいつらの掃除もな」 輝壱には見向きもせず受け流す鬼助の反応に不服だったのか輝壱は顔を少し歪め、そんな2人に幾度目かの溜め息を溢した玄蔵は任務内容を告げる。 「えらい簡単に言うてくれるのぉ、玄蔵さん」 「フン、自信が無いのか? まぁ、エルジェーベトの首は俺が貰うがな」 「何を言うとんねん、お前じゃ取れんのも精々小指の爪先ぐらいやろ」 「はぁ……頼むから敵の前ではケンカはしないでくれんかの」 再び溜め息を溢した支局長の気苦労は絶えないのである。
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