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「こりゃまた派手にやられたのぅ、鬼助」
医務室で手当てをしている鬼助に突然、背後から話しかけてきたのは、灰色の髪をオールバックにした、縦に走った左目の傷が目立つ初老の男。
「その気配消して近づくの、やめてぇな。玄蔵さん。
それに今回はかの有名なドラキュラさんや、腕一本ですんでよかったわ」
「ハッハッハッ現役時代の癖が抜けなくての。
しかしまたドラキュラとな。
こんな場所に何の用があったんじゃろうな」
そう顎髭を撫でながら言うこの男は、数々の伝説が残るヘルシング日本支局の局長であり、生まれて直ぐ孤児になった鬼助に名付け育て上げた命の恩人である。
その男、名を藤崎玄蔵という。
そう、先程のメカニック藤崎咲夜の祖父である。
「そう言えばドラキュラさん、あの方が蘇る……とか言うてはったけど……」
「それは真か?」
そう言って鬼助に向けられた玄蔵の目にはただならぬ殺気が込められ、包帯を巻き終えて立ち上がった鬼助は少したじろいだ。
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