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窓から差し込む、その殆どが欠けた月──三日月の光に照らされて美しく輝く白銀の、肩で切り揃えられた髪を撫でる。
その白銀の髪を持つ少年は透き通るような白い肌に、彫りの深い目、筋の通った高い鼻に血を吸ったように赤い唇、顎のラインはシャープで──所謂、美形。
「んっ……」
「あ、起こしちゃった?」
「……。
今何時や?」
そう言われた黒髪の美少女、咲夜は布団を胸に宛がって鬼助の腕から起き上がり白を基調とした、スタイリッシュに造られた部屋の壁に掛かる時計へと目を遣り、九時とだけ伝える。
「ねぇ、鬼助。
私達いつまでこんな関係──」
「いつもより頑張った所為で腹減ったわ。
何か作ってぇな、咲夜。
義手の説明とか付けんのはその後でもえぇやろ?」
鬼助へ時刻を告げた後、再び横になる咲夜は、そこに鬼助が居ない事に切なくなり、鬼助へそう問い掛けるが話しは途中で遮られ、有無を言わさぬ鬼助の口調に顔をしかめた後、布団から立ち上がった。
鬼助も咲夜もわかっているのだ、わかった上での会話。鬼助の仕事柄、二人が結ばれても咲夜が幸せにはなれない事を。
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