プロローグ

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彼は真っ赤な長めの髪をオールバックでまとめ、特徴的な青色の瞳に目薬を注す。 いつもスーツを着ていて、ネクタイは赤色の時が多い。 目薬を注したあと少し目をつむり、ため息をつく。 最近、仕事が立て込んでいてあまり寝ていないのがため息の原因だろう。 彼は口は悪いが、いつも優しい。 大人として、常に余裕と包容力が必要だと考えているからだ。 親しくなればなる程、優しさはなくなって行くけれど。 それでも彼は優しい。 ……彼は、仕事をしている。 他人の不幸を喰べる。 そんな彼は、冷たい瞳で“人間”に言う。 「俺が不幸を喰ってやろう。その変わりお前の幸福は俺が選ぶ」 幸福とは何か。 他人の選んだ幸福は、果して幸福と呼べるのだろうか。 どちらにしろ“本人”が覚えていなければそれはただの幸福だ。 例えそれが、他人が決めたものだとしてもー…。 、
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