15人が本棚に入れています
本棚に追加
彼は真っ赤な長めの髪をオールバックでまとめ、特徴的な青色の瞳に目薬を注す。
いつもスーツを着ていて、ネクタイは赤色の時が多い。
目薬を注したあと少し目をつむり、ため息をつく。
最近、仕事が立て込んでいてあまり寝ていないのがため息の原因だろう。
彼は口は悪いが、いつも優しい。
大人として、常に余裕と包容力が必要だと考えているからだ。
親しくなればなる程、優しさはなくなって行くけれど。
それでも彼は優しい。
……彼は、仕事をしている。
他人の不幸を喰べる。
そんな彼は、冷たい瞳で“人間”に言う。
「俺が不幸を喰ってやろう。その変わりお前の幸福は俺が選ぶ」
幸福とは何か。
他人の選んだ幸福は、果して幸福と呼べるのだろうか。
どちらにしろ“本人”が覚えていなければそれはただの幸福だ。
例えそれが、他人が決めたものだとしてもー…。
、
最初のコメントを投稿しよう!