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いつもと変わらない… 普通の朝だった… 謙ちゃん、起きて、仕事に行くよ… 久美に揺すられ起こされた …う、うん ベッドサイドの時計に目をやる 午後3時をさしている 久美に目をやると化粧も終わり、すっかり出勤準備は出来てるようだ… 今日は早いんじゃない? 今日は同伴だって昨日言ったじゃない …そういえば、そんな話しをした気がする… ここにお金置いておくね 久美がテーブルに一万円札をおいた 自分は同伴で美味しい物食べるのに一万円だけなん? 久美はしぶしぶ一万円札をヴィトンの財布から取出し… あんまりお金ないんだからね… テーブルへと置いた ありがとう 玄関まで見送りに出る 気をつけてね 見送りのキス… 口紅とれちゃうじゃない… そう言いながら久美はニコリと笑った いってきます いってらっしゃい 今日もいつもと変わらない普通の1日が始まった… さあて、スロットにでも行くか… 謙一はそそくさとシャワーを浴びて、いつものパチンコ店へと向かった… ペカれ! 最後のコインを使いきる…謙一の所持金はポケットの小銭だけとなっていた ちぇっ… ビック5のバケ14て、どうよ… 一人ブツブツ言いながら店を出る携帯を取出し時間を確認する…21:35 帰ってテレビでも見るか… 部屋に向かって歩きだす いつもどおりの何も変わらない1日だった… …ここまでは… 商店街を抜け、住宅街に向かう人気のない大きなカーブへと差し掛かる ヴォンウォン 爆音と共に一台のバイクが物凄い勢いで走って来る …そのスピードじゃ曲がれないぞ… キィーーッ ガッチャン、ガーーッ バイクが火花を巻き上げて転倒する おい!大丈夫か? 謙一が目の前で起こった事故に思わず駆け寄る 足があり得ない方向へと曲がっていた… ヘルメットからもおびただしい量の出血をしてる 生きてるか!? ヘルメットの中を覗きこむ… 25,26だろうか… 助からないかも… ………バン… 聞き取れないような、か細い声で何かを言っている そいつの視線に目をやる 大破したバイクの傍らにカバンが落ちている… ……!! カバンから束ねた一万円札がこぼれ落ちている 謙一はカバンに駆け寄り、こぼれ落ちている一万円札の束を慌てカバンに戻した 大丈夫、あいつはもう助からない 自分に言い聞かせながら… 回りを確認する 誰も見てない…
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