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「ミサカはオレンジジュースがいい、ってミサカはミサカはもう一度あなたに所望してみる」
「何度も言うよォだが……面倒臭ェ」
「敗者は黙って勝者の言う事を聞くんだよ、ってミサカはミサカは勝利の余韻に浸ってみる」
ぐ、と言葉に詰まる一方通行。
相手にしなけりゃ良かったと思ったが、しなければしないで『出さなかったからミサカの不戦勝!』とか言い出すんだろう、と気付き溜め息をつく。
そろそろ本気で喉が渇いてきたし、本当に取って来てもいいのだが、言われた通りにするのも何だか気に喰わない。
「じゃあよォ、『あっち向いてホイ』なんてどォだァ?」
「指を差して相手がそっちを向いたら勝ちってゲームだね!ってミサカはミサカはルール確認をしてみる!」
「あァ、そォだよ。ソイツで俺が負けたら素直にオレンジジュースでもアップルジュースでも取って来てやンよ」
「ふっふっふー、ならじゃんけんに勝ったミサカからだね、ってミサカはミサカは先手必勝!あっち向いてぇ……、」
一方通行はほくそ笑む。
彼の能力は"ベクトル変換"だ。あらゆる"向き"を変える事が出来る。
つまり、部屋中に流れる僅かなエアコンの風の向きを変え、打ち止めの頭を自分が差した方向に向かせればいい。
彼女は一方通行から『あっち向いてホイをしよう』という誘いがあった事に感激して、自ら勝利を棒に振った。
(オマエがこの勝負を受けた瞬間に!俺の勝ちは決まってンだよォ!!)
たかがあっち向いてホイにそこまでするのもどうかと思うが。
しかし一方通行は忘れていた。あっち向いてホイのルールを。
自分の番になる前に負けてしまえば、何の意味も無い事を。
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