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二千五百六十三位。
それが俺の順位である。
最下位は二千五百六十五位。
とどのつまり俺は最下層位の人間である。
魔術順位、戦闘順位、筆記順位、適応順位どれをとっても最下層位の人間。
それが〝現在〟の俺である。
おちこぼれ。
そう言いたければ言えばイイ。
俺には関係のないことだ。
親友を、親友の恋人を救えなかった俺にはお似合いの言葉である。
だから………。
「なぁ、そうは思わない? 〝悪鬼〟」
「だから俺をその名で呼ぶな。 火鈴…………………いや、〝銀罰〟」
目の前の銀髪の理事長を見据える。
「あら、それは無理よ。
ねぇ、第三次魔導大戦の虐殺者にして英雄さん?
貴方はこの国が誇る大量殺人鬼なんだから。
今だって暗部が貴方を血眼で探してるのよ? これがどういう意味か分かるでしょ?」
つまりは、
「つまり〝第四次魔導大戦〟が始まるのかよ。 なぁ〝銀罰〟」
チッ、と舌打ちしたところで現状の状況は変わらない、か。
「それにしたってあれから五年だ。 優秀な魔術師の一人や二人くらいは出てきてんだろうがよ」
なんで今更に俺みたいな〝鬼〟を探すんだ。 傍迷惑極まりねぇなぁ。
「先方は〝優秀〟じゃあ足らないみたいよ?
貴方みたいな〝悪鬼〟にして〝天才〟を探してるんだから」
散々オモチャみてぇな真似しやがったクセに肝心なトコロは変わんねぇんだなぁ、この国の上層部ってのは。
「だからって俺にあたるのは門違いだ。
もう巻き込むんじゃねぇ。 俺は正式な書類出して正式な手続きの下に戦科を辞めたんだ。
今は立派な学院生だ。 一端の、な」
「アハハハ。 一端の学院生が持つ肩書きじゃないわよ。
貴方は私を笑い殺すつもり?
それなら貴方にはコメディアンの才能があるわよ!」
ケタケタと笑う目の前のアホに付き合ってられん。
「そんな下らない話しがしたいなら〝爺〟にでもしてやれ。 最近、孫との会話が減って凹んでたぞ。
じゃあな」
「あ―はいはい、分かったから逃げないの貴方は。
イイじゃない。 昔とはいえ〝部下〟の話しに付き合ってくれても。
そういう妙なトコロで真面目な貴方も好きだけど変なトコロで融通が効かないトコロは変わんないわねぇ」
誰の所為だよ、オイ。
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