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「やっぱ、お前とは雌雄を決する時がいつも来るよな……!」
喧嘩でも始めるつもりだろうか。
野次馬が周りに集まる中、眼鏡の生徒が再び背の低い生徒を睨みつけた。
「ん、別に俺はここで白黒はっきりつけてもいいけど?」
眼鏡の生徒が言った瞬間、河本の背筋に寒気が走った。
辺りが急に寒くなる。
まだ4月の半ばだから、気温が高くないが、これは流石に寒すぎる。
「上等! もうお前にでかい顔はさせねぇよ!」
背の低い生徒は何やら奇妙な戦闘ポーズをとって、眼鏡の生徒を見据えた。
そして、お互い走り出そうとした刹那。
「やめろ!」
突然、後ろからこんな声が学校に響き渡る。
河本はすぐに声のした方に振り向いた。
そこには、一人の生徒がこちらに向かって歩いてくる姿があった。
高めの背に、右手をポケットに突っ込んだ生徒。
右腕には、赤い布を巻き付けている。
「あ、萌(きざし)!」
背の低い生徒が、その姿を見て声を上げた。
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