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萌と呼ばれた生徒は、二人の近くに行くと、はぁっと溜め息をつく。
「入学早々これかよ、本田、とーさん」
呆れた口調で背の低い生徒……本田というのが、眼鏡のとーさんと呼ばれた生徒に指を指す。
「聞いてよ、萌! 今日クラス発表でとーさんと同じクラスだって言ったら、あいつ溜め息ついて……」
しかし、とーさんという生徒はすでに校内に向かって足を動かしていた。
「って、いねぇし! あいつ言うだけ言ってどっかいったし!?」
半狂乱状態の本田という生徒を、萌は叩く。
「とーさんは前からああだろ? 周りにも迷惑かけてるんだから、静かにしてろよ」
こう注意されて初めて、本田は自分の置かれている状況を理解した。
すみませんでしたーっ、と叫ぶと、萌は本田を連れて校内に姿を消してしまった。
辺りは再び、ざわめきに満ちていく。
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