I序章O

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今日は春休み最終日の夜。 いきなり決まった引っ越しの話に慌てていたが、ついさっき、なんとか大雑把な移動は完了した。 といっても、部屋は山積みにされた段ボール箱に占領されたまんまだが。 とりあえず、必要最低限の道具も出し終わり、生活スペースを確保したところで空腹感を覚え、今に至る。 親とは少し離れたが、月の仕送りがあるため、苦労はない。 「いや、まず中学二年生に一人暮らしさせるってどうなのよ?」 俺は扉を開き、階段に向かいながら再び呟いた。 一人暮らしは嫌じゃないが、いざという時に不安になったりしなくもないのだが。 「ま、うるさい親と妹から離れられただけでもいっか」 笑いながら階段を下りて、細い路地に出た。 あまり街灯もなく、入り組んだ暗い夜道なだけに、治安悪いんだろうなぁ、とか勝手に思う。
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