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「あそこか?」
暗く細い路地を走っていると、曲がり角が赤く光っているのが見えた。
そして、河本は見た。
高校生の制服を着た大勢の人間が、地面に倒れていた。
辺りには火の手が上がっており、呼吸もしにくい。
その炎の中に、たった一人、立っている人間の姿があった。
背丈は河本と同じか少し高い……165センチぐらいだろうか。
見たところ、中学生くらいに見える。
頭には赤いバンダナを巻き、サングラスを掛けている。
そのせいか、顔はよく見えないが、まず河本はその少年の状態を見て、異常だと思った。
少年の手に、真っ赤に燃え盛る炎が纏われているのだ。
「…………ん?」
少年がこちらに気付き、河本を見る。
「…………」
河本はただ、その光景を眺めることしか出来なかった。
――――
俺の異常な中学生活は、今日、ここから始まった……。
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