あの日…

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「ったくもう。」 育斗は面倒くさそうにそう言い放つとベッドから起き上がり、母が引きずっていた洗濯物を拾い上げた。 「かぁちゃんはやんなくていい。 俺がやるから。」 育斗は荒々しくそう言うとスタスタと洗面所に向かい洗濯機に衣類を投げ込み、がさつに洗剤を入れた。 「そんな事言ったってそのままにしておくじゃない。早く洗濯しないと臭くなるの。」 足を引きずりながら洗濯場までようやくたどり着いた母は口を尖らせた。 何も出来ない癖に厚かましく世話を焼く。 しつこいくらいに俺に付き纏い、自分が出来る事を見つけたら必死になって構う。 うっとおしくて仕方がない。 しかし、 柱に捕まり、半ば動かない左足を支えながらやっとこさ立っている母…。 その姿を見ると育斗はいつも何も言えなくなる。 だからきっと、21歳になっても母と暮らしているのかもしれない。
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