ゴールを過ぎて

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汐留大賞典はここで一番のレースだ。 台場の乗り役ならだれもが一度は勝っておきたいと思っている。 南関東交流の為、大概は大井の馬に持ていかれるのだが、 年末の大一番を関係者はみな狙っている。 今年の有力馬は数田厩舎のレンジャーグレイスという牡の3歳馬。 青雲賞と東京3歳ナショナルを勝った今年の台場クラシック2冠馬だ。 シーサイドダービー(JpnⅢ)こそ敗れたものの、その後は牡馬クラシック路線で堂々と戦い浦和の埼玉栄冠賞(SⅢ)ではあわやの2着だった。 「俺も乗ってみたいな…。」 ふとそう漏らしたとき、母のさくらから「寝言は寝て言いな。」とあしらわれた。 それは当然で今やひと開催に2鞍確保するのもやっとの状態でエージェントの木村も半ば諦めているような所すら見せる。 なぜ母の前で言ったかというとそれは調教師の数田とは古くからの付き合いがあり、年末年始は必ず挨拶にくる間柄だったからだ。 大井の乗り役だった母となぜそこまで交流があったか知らないがオヤジもだいぶ世話になっていたようだったので、その繋がりだろうと勝手に思っていたりする。
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