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「おかえり、育斗。」
家に入るとすぐさまリビングから母の声がした。
たいして働いたわけではないのだが体は酷く疲れていて、
今は誰とも口をききたくない。
「ああ。」
とだけ返事をするそのまま自分の部屋へと向かった。
荷物もそのままにどがっとベッドへ横たわると休む間もなく母親が部屋へと入ってきた。
「なにしてんの。手ぐらい洗いなさいよ。」
調整ルームから持ち帰った育斗の着替えを拾いあげながら
母は毎度毎度の決まり文句を口にした。
育斗はその言葉を無視し、そのままベッドに横たわっていると
足の悪い母が自分の着替えを引きづっていく音が耳に入ってきた。
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