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「ねぇ、あの人の鈍さっていつ直るかな」
「そんなのお兄さんが知るわけないでしょ」
ていうか何でここにいるの、と溜め息をつくフランシスに目を細める。だって相談できる人なんてフランシスと菊しか心当たりないし、それにあまりにも彼が鈍感すぎて話さないとやっていられない。そう考えながら俺も溜め息をつくと弁当をつついていた二人が俺を見ていやらしい笑みを浮かべた。
「アルフレッドでも悩むことあるんやなぁ」
「俺様は完璧だから悩みなんてこれっぽっちもないけどな」
そうフランシスの友人アントーニョとギルベルトがにやにや笑った。どうも俺のことを馬鹿にしているとしか思えない。今来るんじゃなかったな、と彼らを見やるとアントーニョが俺を見てにこりと笑った。
「何悩んでるか知らへんけど俺でよかったら話聞くで」
「君が…?」
誰から見ても鈍感なアントーニョに心配されるなんて俺も末期かな、と失礼なことを考えながら弁当箱の上に箸を置いた彼を見据えた。
「それじゃ聞くけど……君なら好きな人に自分の気持ちを気付いてもらえなかったらどうするんだい?」
期待せず問いかけるとアントーニョはうーんと少し唸った後、朗らかな笑みを浮かべた。
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